いやー。ブログ書くのも随分久しぶりになってしまった。週報なんか一回しか書いてないよ。どうなってるんですか。
気がついたら半年ぶりの記事になってしまいました。これからチマチマいろいろ書いていければいいかなと思います。また生暖かい目でご贔屓に。
さて、表題の通り、2020年6月1日(月)に新中野にあります「ライブカフェ・BENTEN」にて行われました円道シャーク・一成率いるバンド「SHARK’S EARLY SUMMER GIG Vol.32」の模様を、omegane配信班がライブ配信を担当させていただきましたので、どんな感じでやったのかというまとめ記事を書いていこうと思います。
ミュージシャン/リズム&ブルースシンガーの円道一成はラグビーに熱中していた関西学院高等部在学中、ケガで入院中にFMラジオから流れてきたオーティース・レディングの熱唱に触れたことがきっかけとなりR&Bの魅力に取り付かれる。同大学入学後、パワフルなヴォーカルとソウルフルな存在感を打ち出したバンドを結成し、京阪神エリアのライブシーンを代表するシンガーとしてその名を轟かせる。
Issei “Shark” Endo – Official WEB Site http://www.artistboxx.com/issei/index.html
生で聞く「待たせたな」はマジで格別( ˘ω˘)
Contents
すんごく豪華なアーティストたち
今回みぎたの元にこの案件の話が来たのは実は本番の2週間前とかだったような気がします。(すっとぼけ)
寝ぼけたような状態で話を聞いていたのでフライヤーが到着してアーティストを確認したらびっくり。僕はそこまで音楽詳しいわけじゃないけど名前だけでも知ってる人が、、。その時点でちょっとおっかなびっくりでした。出演者は以下の通り。
円道シャーク・一成Vo.
和佐田達彦Bs.
是方博邦Gtr.
そうる透Drs.
はんだすなおKeys.
永井実穂Sax.
安達奈央美Tp.
仁井山ユキV.p.
うぇえ是方さん!
はい、お恥ずかしながら是方さんしか存じ上げなかったんです。もちろんそうる透さんやはんだすなおさんのお名前は存じておりましたが、それ以外の方々は本当にごめんなさい無知で(-人-)
年齢の割によく知ってるじゃねえかということで多めに見てやってください。
入念な機材チェックと打ち合わせ
withコロナにおける「音楽」「エンタメ」「文化」
2020年に入って初頭はまだその危機感も薄かったものの、3月に入り日本国内でもCovit-19の感染者が大幅拡大、政府はそれに伴って「緊急事態宣言」を発令しました。
この影響により国民生活における移動に対して自粛要請がされたり、いわゆる「3密」となるような飲食店やイベントなど多くの分野で活動を制限・自粛を受け影響を受けた。というのはこの記事を読んでくださっている誰もがご存知かと思いますし、このブログ上で政治がどうとかっていう話をするつもりは一切ありませんのでここまでにしておきます。
が、そんな最中における自他ともにある種の「実験的」要素の強いライブ配信になったのは言うまでもありません。
ライブハウスはもちろん無観客の状態でのパフォーマンス。今回のライブ配信は視聴料を一人¥3,500と設定し、入金確認ができた人に対して視聴用のyoutube liveの限定公開アドレスを配布すると言う形で実行した。
先に述べた通り、無観客でのライブ配信パフォーマンスとなったので、ソーシャルディスタンスの意味合いも込めて、普段は客席で埋め尽くされる会場のフロアも大きく使って演者たちの間隔を広くとってライブが行われた。
omegane名物・夜な夜な作戦会議
実は音楽イベントのライブ配信、スイッチングについては初めての経験。個人的に課題にしていたのは「いかにして臨場感のある映像をお届けするか」というところ。
曲に合わせて、演者のアクションに合わせて、どのようにすれば観ている人を楽しませられるのか、どのようにすれば通常のライブと同じように(とまでは行かなくても)お届けできるのか。その答えは数多にあるものの、その答えを我々なりに考え出して導き出さなければいけないのかなと思ってたりするわけでして。
演者やセットリストの曲数をみるにどうしても5カメ以上が必要(ていうかあった方がいい)なんじゃないかなと思った結果、今回は時間と予算の都合で手持ちの機材をかき集めてやらなければいけないということで、どうしてもスイッチャー2台を酷使させるという大変面倒な機材の組み合わせになった次第です。
事前の現地リハに参加できたわけではないので、作成していただいたステージ配置図を元にカット割を作成。持ち合わせの機材と吟味し、最終的に7カメを使ってやってみましょうということに。
時刻は気がついたら5/31の夜11時半を過ぎていました。カメラのカット割が決まったところでスイッチャーの接続割り当てやモニター返し、細かい設定を決めていたら気がついたらomeganeハウスを出る頃にはもう日付が変わってましたね(^◇^;)毎度毎度熱が入ると時間を忘れて細かいところまで詰めたくなるという。
リハでの動きとつきもののトラブル
仕込み図はあってないようなもの。
というわけで、本番当日の深夜に家に帰ってきたわけでそのまま翌朝に向けて眠りについたわけです。
最近は体力の衰えを感じる( ˘ω˘)
翌朝。早めに起きて昨晩の仕込みを思い出しながら回線の仕込み図をいそいそと作成。実際に数百回もライブ配信のオペレートをやっているわけではないので、自分の記録の意味も込めてこういう配線仕込み図を作ったりしています。
また、業界的にはこういうのは公開するべきではないように思いますが、これを公開してもスイッチングの技術やセンスは公開できない(物理的に公開しろって言われてもしんどみがすごい)ということがありますので、別にいいのかなとも思っています。
ちょっと余談ではありますが、昨今のコロナ禍においてスイッチャーが飛ぶように売れていて、我々映像チーム的に「欲しいねぇ」と言っているスイッチャー等の映像機材が買えないという自体が発生していたりします。
ご自宅のテレワーク・オンライン会議等でスイッチャーをお使いになるのはもちろんよろしいと思いますし、映像配信をやってみようなんていう人が増えるのも喜ばしい、微笑ましい限りでございます。
しかーし!
質の悪い配信者が増えて行ってしまって業界全体の価格が低下してしまうと、こんなハイコストなことやってられなくなります。後にも書くつもりですが、音響照明などは徐々に浸透してきているものの映像配信のような新しい価値に対して費用対効果をしっかり考えていただかないと僕らの仕事がなくなってしまうということだってあります。
ライブハウスに目をやれば、音響照明の機材はもちろん、それを操作するオペレーターにもしっかりと予算をはたいているのに、映像配信は安価でオートスイッチングでええやろというところが結構散見されます。
ライブハウスを例に取りましたが、それ以外の講演だったりトークなどのイベントなどでも同じです。プロに頼むべき場面をケチって適当に済ませればそのイベントの価値は相対的に下がりますし、同時に映像配信の業界がしょぼいという烙印を押されかねないな。なんてことを最近危惧してます。
すいません、余談が過ぎました。というわけで出来上がった配線図がこちらです。
こうして見るとシンプルにまとめられたなぁという感じではありますが、朝になってこれがちょっとだけ変わりました。
助っ人参戦
スマブラの「参戦!!」みたいなかっこいいエフェクトを脳内再生( ˘ω˘)
朝になって配信クルーのみんなと合流。いつも通りクレバーな面々が揃いみぎたもにっこり。心強い仲間たちです。
そこになんと宮原氏の紹介で機材班などで活躍するカメラマンが合流してくれるとの朗報が。しかも当初はOBSで画面切り替えなどを行おうとしていたものの、それをBlackmagic design Television Studioで行ったらどうかという提案までいただいた。
確かに、その方がソフトウェアのパワーに依存することなく、ハードウェアパワーに任せることができるので安心かもしれないと考えた。一行が乗っている車は既に東京都内に入っていたが、急遽仕込み図を変更。
ついでに、CineEyeでアクティブのカメラマン宛ての指示を出すのにみぎたのiPadのカンペアプリを余ってるチャンネルに入力。これで本番中の指示送り件タリー問題も解決?
本来というか業界標準はこういう時ってどうするんだろう。事前に曲を元にカット割りとか決めて動いてもらうんだろうけど、調整室のディレクターの指示をインカムでカメラオペレーターに送るとかそんな感じなのかな?
何はともあれ、現場到着の15分前くらいに配線関係の計画が無事にFix。そして現地で助っ人の林くんとも合流。
若いエネルギーを享受( ˘ω˘)
住めば都は住むまでが大変。
ちょっと複雑なスイッチング
さて。現場に到着し機材搬入も終了。さて、お店を広げていきましょうか、、というところで一つだけ気がかりになっていることがありました。それは「スイッチングやばない?」というところです。
先にも申し上げた通り、寄せ集めの機材たちを組み合わせているので、スイッチャーには映像ソースが4つしか入りません。しかし扱うカメラの台数は7台です!というわけで2台のスイッチャーにそれぞれのカメラを入力し、さらにその2台のスイッチャーからの映像を最終的に送出するためにもう一台のスイッチャーを使うというなんとも効率的ではない構成になりました。笑
本来であれば、8台とか10台とかのカメラからの入力を受けられるスイッチャーを用意するべき内容ではありますが、準備時間がそこまでなかったというのと、使い慣れた機材というのを優先しての構成となりました。もっと場数を踏んでいろんな機材を使いこなせるようになれば、表現の幅も広がっていくのかなとも思ったり。
というわけで例によって手元は大変なことに。まぁ予定調和というかいつも通りというか。
これがかなり頭をかき乱すことになり、リハがあって本当に良かったです。
やってる最中「今出てるのどっちだ??笑」となって個人的には面白おかしく場当たりしてました。
本番はもちろん、後述しますがノリに身を任せてカメラスイッチングに勤しみました。リハーサルの様子はこちらから。
カメラの位置決めもシビーア
今回に関しては会場の客席も含めて全てが演者のステージに変わるということもあり、カメラの配置も実は少し悩んだ部分でした。如何に目立たずに且つ演者のパフォーマンスの邪魔にならないポジションに置き、効果的に映し出すか。
欲を言えば多分倍くらいのカメラが欲しかったかもしれませんが、そんなカメラだらけにしてもしょうがないので、限られた手持ちのカメラ台数の中で効果的にやるならどうなるかなと考えた結果以下の感じになりました。
1カメ:土井さんアクティブカメラwithドリー
メインの円道さんを中心に撮ってもらったり、各パートのソロをいい感じに捉えてくださった。さらにドリーを装着しているので、躍動感のある画をお届けすることができました。
2カメ:宮原くんアクティブカメラ
舞台の上手側から狙う土井さんに対して、舞台の中心・正面から円道さんや各パートのソロを狙ってもらいました。カメラ目線の問いかけにはこれがバッチグーでした。
尚、土井さんと宮原くんの手元のiPhoneにはCineEyeから送信されるプレビュー映像が見れるようになっており、スイッチャーからのカメラ指示も見れるようになっておりました。
3カメ:全体俯瞰
会場内の一番高い位置に設置したこのカメラは、なんと照明用の三脚にカメラ用のネジの変換アダプターをかませて先端にちょこんと乗っけているというお手軽仕様。如何に全体の邪魔にならないように配置するかのお手本のようなスタイリッシュな配置を実現できました。
4カメ:ホーンセクション固定
こちらはGH2と30mmの単焦点の組み合わせでのトライ。証明のシューティングまでなかなか色を決められなかったのとポジションがちょっと難しかったと言うやつ。個人的にはサックスにはサックス用でもう一台カメラを仕掛けたかったところですが、そこは土井さん(1カメ)がカバー。
5カメ:ギター固定
こいつも癖のあるカメラと言うかポジショニングでございました。元々の設定は舞台上手川のバーカウンターに設置しておくという案がありましたが、画的に面白くないというと、ソロがあるのにギターをフィーチャーしたアングルを用意できていなかったということがありました。
もちろん最初から考慮していなかったわけではありませんが、会場の配置がどうなるかが定まりきっていなかったので、こちらも決めかねていたというのもあり。しかし、当日会場入りしてスッキリ!ライトに照らされた是方さんは超かっこよかったっす^^
6カメ:リズム隊固定
舞台の下手側から舞台中央に向けて配置したこちらのカメラは、キーボードの手元がアップになるようなアングルに。
本番中はカメラの存在に慣れてくださったはんださんがカメラに向かってアクションしてくれたりなど、普段のライブでは見ることができないショット、そして手元のアップに興奮してくださるyoutube liveのコメントも見られました^^
7カメ:ドラム固定
個人的にはこだわったアングル( ˘ω˘)
というわけでございましてそうる透さんのドラムでございますが、まーカッコ良い。
こちらもアングルは結構悩みました。オーバーヘッドから狙ってあげるか後方から真下に向けるかとかいろいろアングルのアイデア自体はありますが、今回はあえてタムとタムの間からカメラを突っ込んで見るというアングルにしてみました。
スネアやタムを使ったフィルインはもちろんのこと、使用カメラの中で一番の広角を誇るivis mini xのおかげでシンバルにヒットさせるところまでバッチリ捉えてくれました^^
たくさんの喜びの声、そして現実。
アドレナリンドバドバのスイッチング
筋書きがあるようでないタイプの配信だったような気がします。もちろん、もっと大きい会場とかだと照明さんとの兼ね合いもあったり、細かい演出がある都合上筋書き通りに進まないととんでもないことが起きたりしますが、、。
今回はライブハウスで行う規模感ということもあり、セットリストに沿ってカメラ割りなどをある程度決めて、残りはオペレーターの感覚勝負という部分が多かったように思います。
スイッチングをする時にいくつかのことを意識していたように思います。
- 曲の拍子や曲調によって切り替えの仕方を変える
曲の拍子を外したタイミングでスイッチングをすると結構違和感が出たりします。もちろんたまに意図的に拍を外すこともありますが。
それと同じように、曲調によってはフェードの時間を変えるなど、実は手動で細かく調整をしていたりしました。この辺は業界の人だとどうやってやるのが標準なんだろうなぁ。まだまだ研究が足りません。 - カメラ=視聴者の眼の代わりであるという意識
これは音楽のライブ配信じゃなくても同じですが、映像をみてもらうということには代わりないですが、それ以上に視聴者に対してその場にいる臨場感や楽しさを感じ取ってもらうための各自の「眼」の代わりを僕らがやってるんだという意識を持ってスイッチしてたりします。 - 如何にして自分たちが楽しむか
やはり自分たちオペレーターがわも楽しみながらスイッチや撮影をしないとその場の臨場感は伝わってくれないものだと思います。楽しみすぎも良くないので程々に。という感じではありますが、、。
そんなことを意識しながらスイッチングしているおかげでアドレナリンがドバドバ流れ出る状態で数時間やると撤収が終わった瞬間の放心っぷりが尋常じゃないわけですね。なんだったらレッドブル3ほんも飲んでたし。
でもそこまでやりたい・やるべきコンテンツだからこそできるわけですね。そんなこと考えることが結構多いので職人気質なのかなとかも思ったり。自分が情熱を注げる唯一のことなのかもわかりません。
ライブ配信の現実 – 我々はどうやって食べていくのか
しかしながら、現実はそうもうまくいきません。
従来通りライブイベントなど何かのコンテンツをやろうとするとかかるコストとして以下の内容が思い浮かぶと思います。
- 場所代
- 音響・照明などの技術的コスト
- 演者の謝礼
今まで通りにイベントを企画してこれに配信もやります!と言って予算を咲いてもらう。普通にやると絶対にできないはずなんです。
じゃぁどうする必要があるのか。なんだったら今までライブ配信というと「無料」で楽しむという価値観が結構多かったと思います。
これがコロナを期にテレワークが人々の生活に浸透してきて、オンラインでいろいろ済ませるということが徐々に身近になってきたおかげで、オンラインでの配信も有料化してみようという実験的な試みが業界をはじめとして方々で議論が進んできたように思います。
でもそれだとちょっと遅くて、ここからは如何にして「オンライン配信」というものに価値を感じてもらうかが鍵になってくるのかなと個人的に思ってたりします。もちろん、コロナが落ち着いてオフラインでいろいろ楽しむことができるようになるならそっちの方が良いに決まってますが、同時並行でオンラインでの配信もするようにするということが浸透していくと、僕たちがいろんな機材を持ち込んでまで届けようとする意味が出てくるのかなと思います。
付加価値を一緒になって考えてあげるということもきっと僕らのこれからの新しい動き方の一つなのかなと思います。如何にしてチケットを買ってもらうかとかではなく、如何にしてそのチケットがさらに魅力的だと感じてもらうか。そのための仕掛けを一緒になって考える。
それができるようになると、今までの音楽をはじめとした表現の仕方がオンラインを通してもっと面白く、アクティブに、インタラクティブに展開していくんじゃないかなと。その方がイノベーティブなんじゃないかなと。
横文字ばっかり縦並べましたが、要するに何が言いたいかというと、オンライン配信に希望を持ってくれる人が増えれば増えるほど、僕たちの生活はもうちょっとだけ面白くなってニコニコできる未来が待ってるんじゃないかなと思います。
わからないから避けるような、前例がないからやらないみたいな、まだそんなこと言ってるんですか、そんなダサい人まだいるんですか。面白いからやってみませんか。
簡単にぼやいてるけど、伝えるのって難しいなー。なんてことを思いながら執筆終了。約7800文字、よくぞここまで読んでくださった。笑
お疲れ様でした。
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